東京地方裁判所 昭和43年(ワ)6182号 判決
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〔請求の原因〕
一、(事故の発生)
原告は、次の交通事故によつて傷害を受けた。
なお、この際訴外有限会社木下設備設計事務所(以下訴外会社という)はその所有に属する自動車を損壊された。
(一)発生時 昭和四二年一一月七日午後七時頃
(二)発生地 東京都中央区日本橋馬喰町四丁目一番先路上
(三)加害車 自家用普通乗用車(埼5め4269号以下甲車という)
運転者 被告
(四)被害車 自家用普通乗用車(トヨタ四一年式品川5め9282号以下乙車という)
〔判決理由〕一、請求原因第一項(一)ないし(五)は当事者間に争いがなく、<証拠>によれば原告は本件事故により頸椎捻挫の傷害を受け昭和四二年一一月七日から同月一四日までのうち七回にわたり加藤病院に通院し治療を受け、同月一四日現在では治療継続中であつたことが認められる。
請求原因第二項(一)は当事者間に争いがなく、かつ前認定の本件事故の態様によれば被告に運転上の過失の存したものと推認される。
二(一) 休業補償の請求について。
<証拠>によれば原告は訴外会社の代表取締役として役員報酬として昭和四二年度に五四〇、〇〇〇円を受けていたことが認められる。本件事故により休業した期間、そしてこの間報酬を得ることが出来なかつたことを証する明確な証拠はないが、弁論の全趣旨(特に<証拠略>には治療継続中となつており、自賠責保険では七四日間慰藉料が支給されていること)によれば、前認定の加藤病院へ昭和四三年一月一九日まで通院し、この間七四日間休業を余儀なくされたことが認められ、仮りに休業により役員報酬が減額されたとしても原告の休業による損失は高々一〇九、四八〇円と認められる。減価償却費、不動産賃借料、租税公課、水道光熱費、通信費、支払手数料、保険料、修繕費、消耗品費及び雑費については、これを認めるに足る証拠がなく、さらに原告の主張自体右は訴外会社における損害を主張するもので、これを原告において賠償請求をすることはできないというべきである。
(二) 慰藉料の請求について。
右認定の加藤病院への通院期間その他本件にあらわれた一切の事情を考慮し原告の受くべき慰藉料は一二五、〇〇〇円をもつて相当とする。
(三) 自動車修理代の請求について。
原告の主張自体乙車の所有者は訴外会社であり、<証拠>の見積書も右訴外会社に宛てて出されているのであるから、原告において右自動車の破損による損害を求めることはできない。
(四) 諸雑費、調査費の請求については、これを認めるに足る証拠はない。
(五) 従つて、原告の本件事故による治療費以外の損害は右(一)(二)の合計二三四、四八〇円となるところ、自賠責保険により治療費を除き、休業補償費慰藉料として二七六、九五二円が支給されていることは当事者間に争いがない。よつて、原告の損害はすべて填補されているものというべきである。
三、よつて原告の本訴請求は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(荒井真治)